東京プリズン
文芸誌『文藝』(河出書房新社)に連載してきた小説「東京プリズン」が、やっと終わる兆しを見せた。
はぁ〜。
次が最終回。終わりそうで終わらず、何度も、話が私を離してくれない、みたいなことを繰り返して、2年と3ヶ月くらい、書いてきた。
始めた頃にはまだもちろん、東日本大震災なんて起きてなかった。
これは、戦争と戦後、そしてそれが私たちに今も落としている影のことを考える小説です。
私の個人的な体験が核となっているけれど、フィクションで、「セルフ・フィクション」とか呼んできた。
これを書いている間じゅう、いつも余裕がなくて、終わらなければ、先へいけない気がしていた。
散髪なんかにもたまにしか行けず、巷の「女子」なる概念などとは程遠い生活。
ひとつたしかなのは、私たちは、あまりに大量の死に対して、物語(言葉)を与えなかったということだ。
あまりに大量の死に直面した時こそ、人は新しい物語を必要とするのに。
「神話の更新」と言ってもいい。
それをするかわりに物質やマネーを崇拝した末に、今の状況はある。
先の戦争に対してそれを行えなかったことが、今回の大震災の語りにくさにもなっていると思う。
日付が変わってしまったけれど、1月17日は、阪神淡路大震災の日。
失われたものたちのために、生きている者は何ができるだろう。

