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2015年5月 6日 (水)

ゲラばかり見ていた その2

ゲラばかり見ていた昨今のことを、順不同に書いていたら、途中で中断が入り、そのあとしばし息絶えておりました。

その2くらいにあたったのは、半藤一利さんの『いま 戦争と平和を語る』の文庫版解説の仕事。とてもいい本で、思わずいっぱい解説書いてしまいました。

「戦争を語り継ぐ」というのは、よく言われることだけれど、ほとんどの人が本気だとは思えない。もし本気だったら、この言葉は、八月の季語以上のものになってるはずでしょう? 
そんな中で、本当に戦争を語り継ごうという意志を感じた一冊でした。

近代史研究家の半藤一利氏(戦争経験世代)に、日本経済新聞の記者である井上亮氏(その子世代)が、「あの戦争とはなんであったか」を訊いた対話。

戦争には企画・立案がある。しかし「あの戦争」を「そういうもの」として語ることは、戦後、なぜか禁じられてきた。あるのは「巻き込まれ型」や、戦争を「天災」のように語る視点だけだ。ある種の人たちが大好きな、特攻隊の話だって例外じゃない。

「なぜだか戦争が始まって、巻き込まれた私は戦地に送られ、あるいは天災のように降る爆弾の中、逃げ惑った」ーーそんな話ばかり。NHK朝の連ドラのヒロインみたいな視点しかない(繰り返すけれど、特攻隊だってほとんどは「巻き込まれ型のかわいそうな兵士の話」なのだ。そのほうが失礼じゃないだろうか)。それはそれで本当だろうけれど、戦争がそれだけであるはずがない。

そしてもしもだよ、本当に誰にも責任がないのに、空気に逆らえないまま何か運命の歯車みたいなものが狂っていって日本人があの戦争に突っ込んでいき、あの結末になったのだとしたら!? そのほうが、ずっとこわいじゃないか!? そのメカニズムをこそ、私たちは突き止めないと私たちの社会、ヤバいじゃないか! そこに直面することを、今すぐにでもはじめなければ。

半藤一利氏のような戦争経験世代にも、どうしてああなったかわからない。わからないから彼は、上の世代に訊き始めた。多くの軍人にインタヴューしてそれをまとめてきた。
その半藤氏の話を、井上氏が引き継いでいる。
語り継ぐって、こういうことではないだろうか。

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「作家・赤坂真理氏の、戦争を知らない世代からの解説も必読! この本に新たな息吹を吹き込んでくれています」

という出版社のコメント(Amazon)に、ちょっとほっとしています。

私はこの本に出会えてよかったです。

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